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AV新法とmyfans|共演者がいる投稿の契約書・同意書・公表までの決まり

公開
執筆
橘 美咲

この記事の要約 / 読了時間:約15分(約5,700字)

myfansは、複数人が出演する投稿について出演者全員の同意を求め、出演同意書・契約書の提出を求めることがあります。2026年8月の運営報告には、AV新法に基づく契約書の不交付などで摘発例があると明記されました。AV新法は、作品ごとの書面契約、書面の交付から1か月後の撮影、撮影終了から4か月後の公表、公表から1年間の任意解除を定めています。個人のクリエイターが法律上の「制作公表者」に当たるかは本記事では確認できていないため、対象になり得る前提で準備し、弁護士に相談してください。

本記事は非公式の解説です。運営会社・手数料等は 2026-09-24 に公式規約・特商法表記・公式ヘルプで確認しました(出典は末尾)。個別の判断は税理士・行政書士等の専門家にご相談ください。

myfans(マイファンズ)で、共演者と一緒に撮影した作品を公開したい。そう考えたときに避けて通れないのが、出演者の同意と契約の問題です。この記事では、myfansが共演者のいる投稿に求めている手続きと、AV出演被害防止・救済法(いわゆるAV新法)が定める契約書・撮影・公表の決まりを、条文と公式ヘルプに沿って整理します。myfans全体の仕組みはmyfans 完全ガイドにまとめています。

myfansが共演者のいる投稿に求めていること

法律の話に入る前に、まずプラットフォームのルールを確認します。myfansは、クリエイター登録のポリシーと利用規約の両方で、複数人が出演する投稿についての決まりを置いています。

① 出演者全員の同意と書類の提出

公式ヘルプのクリエイター登録ポリシーは「出演者同意の確認」という項目で、複数人が出演する場合は、撮影・公開・配信販売のすべてについて出演者全員の同意が必要だとしています。そのうえで、出演同意書・契約書・本人確認書類の提出を求めることがある、と明記しています(出典 3)。「相手が口頭でいいと言ってくれた」だけでは、運営から確認を求められたときに示せるものが何もありません。同意は書面で残す、が出発点です。また、法律の対象にならない内容であっても、共演者が写る以上は肖像権への配慮も欠かせません。

② 通報があったときの書類提出

利用規約第12条4〜5項は、禁止コンテンツの疑いや通報がある場合に、主催者(クリエイター)へ届出書や出演契約書等の提出を求めると定めています。提出にかかる費用は主催者の負担で、提出しなければ削除・提供中止の対象になります(出典 4)。書類は「求められてから作ればよい」ものではなく、公開した時点で手元に揃っている必要がある、と読むのが安全です。

③ 運営の報告にも摘発例の記載

myfansが公式ヘルプで公開している2026年8月(8月1日〜31日)の対応状況には、AV新法に基づく契約書の不交付などで摘発例があると明記されています(出典 5)。報告に書かれている範囲を超える内容は本記事では扱いませんが、運営自身がこの法律を名指しで注意を促している点は重く受け止めたいところです。同じ報告では、同月の審査NG率が13.92%、不正利用による停止が49件、警告が52件だったことも公表されています(出典 5)。参考までに、Fantia(ファンティア)のガイドラインも、出演者がいる場合は出演同意書等の提出を求め、AV新法の対象で個別の契約書等を取り交わしていない作品の投稿を禁止しています(出典 6)。

AV新法の対象になるのはどんな作品か

AV新法は2022年6月22日に公布され、公布の日の翌日(2022年6月23日)から施行されています(出典 1)。正式名はとても長いため、末尾の出典節に全文を載せました。ここでは、後半を読むために必要な用語だけを条文に沿って確認します。

① 「性行為」と「性行為映像制作物」

法律は第2条第1項で「性行為」の範囲を定めています(性交や性交類似行為などが列挙されています)。同条第2項の「性行為映像制作物」は、性行為に係る姿態を撮影した映像等で、全体として専ら性欲を興奮させ、または刺激するものを指します(出典 1)。つまり対象になるかどうかは、どのサービスで公開するかではなく、撮影する内容で決まります。

② 「制作公表」と「制作公表者」

「制作公表」には、撮影・編集・流通・公表(頒布・公衆送信・上映)が含まれます。「制作公表者」は、出演者と出演契約を結ぶ、または結ぼうとする者と定義されています(第2条第5項・第7項・出典 1)。撮影だけでなく、公表までの一連の流れが法律の射程に入っている点を押さえておきましょう。

③ 個人のクリエイターも対象になるのか

ここは断定できない部分です。共演者と撮影して自分のファンクラブで公開する個人が、法律上の「制作公表者」に当たるかどうかについて、本記事では内閣府の解説資料まで確認できていません。「個人だから関係ない」と自分で判断せず、対象になり得る前提で準備を進め、撮影の前に弁護士へ確認するのが現実的です。なお、myfansの利用規約は法律の対象かどうかとは別に、運営が出演契約書等の提出を求められる仕組みになっています(出典 4)。法律の判断がどちらであっても、書類を用意しておくことは無駄になりません。

作品ごとに必要な契約書と説明書面

AV新法の中心は、出演者と交わす契約の形を細かく決めている点にあります。口約束や、複数の作品をまとめた包括的な約束では足りません。

① 契約は作品ごと・書面で

出演契約は作品ごとに結び、書面または電磁的記録でなければ効力を生じません(第4条第1項・第2項)。契約書には、撮影の日時と場所、撮影する姿態の具体的な内容、相手方、公表の方法と期間、報酬の額と支払時期などを記載します(同第3項・出典 1)。書面で残すことの意味は、用語集の契約書の必要性でも解説しています。

② 契約前の説明書面、契約後の契約書

契約を結ぶ前には、契約書の案を示して内容を説明し、説明書面を交付しなければなりません(第5条第1項)。契約を結んだ後は、速やかに契約書を交付する義務があります(第6条・出典 1)。順番は「説明書面を渡して説明する→契約する→契約書を渡す」です。どちらの書面も、後から「渡した・受け取った」を示せる形で保管しておきましょう。

③ 出演者に不利な条項は無効

出演者が違約金を払う条項や、損害賠償の額をあらかじめ決めておく条項などは無効です(第10条第2項)。説明義務や契約書の交付義務に違反があれば、出演者は契約を取り消せます(第11条)。さらに、次の節で見る撮影・公表のスケジュール(第7〜9条)に違反があれば、出演者は催告なしで契約を解除でき、制作公表者は損害賠償を請求できません(第12条・出典 1)。

撮影から公表までに必要な待機期間

AV新法は、契約してすぐ撮影し、撮ってすぐ公開する流れを認めていません。出演者が考え直す時間を確保するため、待機期間が条文で決められています。

① 撮影は書面の交付から1か月後

撮影は、契約書と説明書面のうち遅いほうを交付した日から1か月を経過した後でなければ行えません(第7条第1項)。例えば説明書面を1日、契約書を5日に渡したなら、起点は遅いほうの5日です(仮の例)。撮影の途中でも、出演者は撮影の全部または一部を拒むことができ、そのことで損害賠償責任を負いません(同第2項・出典 1)。

② 公表前の確認と4か月の待機

公表の前には、公表する映像を出演者が確認できる機会を与える義務があります(第8条)。そして公表は、すべての撮影が終わった日から4か月を経過した後でなければ行えません(第9条・出典 1)。

③ 時系列で整理すると

段階決まり条文
契約の前契約書の案を示して説明し、説明書面を交付する第5条
契約作品ごとに、書面または電磁的記録で結ぶ。契約後は速やかに契約書を交付する第4条・第6条
撮影両方の書面のうち遅いほうの交付日から1か月経過後。撮影中も出演者は拒める第7条
公表の前公表する映像を出演者が確認する機会を設ける第8条
公表すべての撮影が終わった日から4か月経過後第9条
公表の後公表日から1年間は、出演者が理由を問わず解除できる(2025年6月23日以降の契約)第13条

書面の交付から公表までは、撮影日数を除いても、1か月と4か月の待機を合わせて5か月を超える計算です(1か月+4か月の計算値)。撮影した作品をすぐファンに届けたい、という計画は立てられないと考えておきましょう。公開の前に、次のものが手元に揃っているかを確認しておくと安心です。

・説明書面の控えと、交付した日の記録(第5条)
・作品ごとの契約書と、交付した日の記録(第4条・第6条)
・共演者の出演同意書と本人確認書類(myfansが提出を求めることがある・出典 3)
・公表前に映像を確認してもらった記録(第8条)
・すべての撮影が終わった日の記録(第9条の4か月を数える起点)

公表後1年間の任意解除と公表停止の請求

公表した後も、出演者の側には強い権利が残ります。ここを知らないまま公開すると、後から作品を取り下げることになりかねません。

① 理由を問わない任意解除

出演者は、理由を問わず、書面または電磁的記録で契約を解除できます(契約前なら申込みの撤回)。期限は公表日から1年です(第13条第1項)。解除に伴う損害賠償は請求できず(同第3項)、出演者に不利な特約は無効です(同第4項・出典 1)。「解除しない」と約束する文言を契約書に入れても、効き目はありません。

② 契約した時期による経過措置

内閣府の案内によると、任意解除ができる期間は契約した時期によって異なります。2022年6月23日〜2024年6月22日の契約は公表から2年、2024年6月23日〜2025年6月22日の契約は公表から1年または2026年12月22日のいずれか遅い日まで、2025年6月23日以降の契約は公表から1年です(附則第3条・出典 2)。これから新しく結ぶ契約は最後の区分に当たるため、公表から1年と考えておけば足ります。

③ 公表の停止・予防を求める権利

契約なしに公表された場合や、出演者が取消し・解除をした場合、出演者は公表の停止や予防を請求できます(第15条・出典 1)。投稿する側から見れば、解除されれば、公表の停止や予防を請求され得る立場になるということです。どの投稿にどの共演者が出ているかを記録しておけば、連絡を受けたときに慌てず公開を止められます。作品がほかのサイトへ無断で転載されている場合の対処は、流出・無断転載への対処で扱っています。

違反したときの罰則と相談先

最後に、違反した場合の罰則と、困ったときの相談先をまとめます。

① 罰則の内容

説明書面や契約書を交付しなかったり、虚偽の記載をしたりした場合(第5条第1項・第6条違反)は、6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方です(第21条)。任意解除を妨げるために事実と違うことを告げたり、威迫したりした場合(第13条第5項・第6項違反)は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科されます(第20条)。法人は第20条の違反で1億円以下の罰金です(第22条・出典 1)。

第21条の罰則は、説明書面と契約書という「書類の手続き」の違反に向けられています。myfansの運営報告が契約書の不交付などを摘発例として挙げていたこと(出典 5)とあわせて考えると、書類をきちんと整えることが、投稿する側にとって最も基本的な備えだといえます。

② 判断に迷ったら弁護士へ

内閣府は、団体・事業者・個人に対して個別の法運用を「承認」することはないと注意を呼びかけています(出典 2)。「国に認められた書式だから安心」といった説明には気をつけてください。契約書の作り方や、自分の作品が対象になるかの判断は、弁護士に相談するのが確実です。届出の要否はmyfans と風営法の届出、サービスそのものの安全性はmyfans は違法?安全性の検証で整理しています。

③ 出演した側の相談先

反対に、自分が出演した作品のことで困っている場合は、ひとりで抱え込まないでください。内閣府のページには、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(#8891)が相談先として掲載されています(出典 2)。

よくある質問

友人と一緒に撮った写真を投稿するときも、同意書は必要ですか?

myfansは、複数人が出演する場合に撮影・公開・配信販売のすべてについて出演者全員の同意を求め、出演同意書などの提出を求めることがあります(出典 3)。AV新法の対象になるかは撮影する内容で決まりますが(第2条)、myfansの手続きとしては同意を書面で残しておくのが安全です。

出演の契約は口約束ではだめですか?

AV新法の対象になる出演契約は、書面または電磁的記録でなければ効力を生じません(第4条第2項)。契約は作品ごとに結び、撮影の日時・場所や公表の方法と期間、報酬などを記載します(出典 1)。

撮影した作品は、すぐに公開できますか?

AV新法の対象になる場合、公表はすべての撮影が終わった日から4か月を経過した後でなければ行えません(第9条)。公表の前には、出演者が映像を確認する機会を設ける義務もあります(第8条・出典 1)。

共演者が後から公開をやめたいと言ったら、どうなりますか?

2025年6月23日以降に結んだ契約では、出演者は公表日から1年間、理由を問わず契約を解除できます(第13条・出典 2)。解除された場合、出演者は公表の停止や予防を請求できます(第15条)。解除を理由に損害賠償を求めることもできません(出典 1)。

myfansから出演契約書の提出を求められたら?

利用規約第12条では、禁止コンテンツの疑いや通報がある場合に届出書や出演契約書等の提出を求めるとしています。費用はクリエイターの負担で、提出しなければ削除・提供中止の対象になります(出典 4)。公開前に書類を揃えておきましょう。

出典・確認日

本文の(出典 N)は下の番号に対応します。確認日はすべて 2026-09-24 です。

  1. 性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律(令和4年法律第78号・e-Gov 法令検索) — https://laws.e-gov.go.jp/law/504AC1000000078(確認日 2026-09-24)
  2. 内閣府男女共同参画局「AV出演被害防止・救済法」 — https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/avjk/index.html(確認日 2026-09-24)
  3. myfans 公式ヘルプ(クリエイター登録ポリシー「4. 出演者同意の確認」) — https://support.myfans.jp/hc/ja/articles/15403464605583(確認日 2026-09-24)
  4. myfans 利用規約(株式会社Rise)第12条 — https://myfans.jp/terms(確認日 2026-09-24)
  5. myfans 公式ヘルプ(2026年8月の対応状況) — https://support.myfans.jp/hc/ja/articles/17448604953487(確認日 2026-09-24)
  6. Fantia ガイドライン — https://help.fantia.jp/guideline(確認日 2026-09-24)

ファンクラブサイトでの活動は、ひとりで撮って、ひとりで公開するところから始まる人がほとんどです。だからこそ、誰かと一緒に撮影しようと決めた瞬間に、ルールの重さががらりと変わることを知っておいてほしいと思い、この記事を書きました。

AV新法の条文を読むと、契約書の記載事項、1か月と4か月の待機、公表から1年間の任意解除と、出演する人を守るための仕組みが何重にも用意されていることがわかります。投稿する側から見ると手間ばかりに感じるかもしれません。けれど、その手間の一つひとつは、共演者がこの先の人生で「あのとき出なければよかった」と後悔しないための時間です。

私はライブチャットの代理店で長く働いてきましたが、この業界では「信頼できる相手だから大丈夫」という感覚が、いちばん危ういと感じています。関係が良いうちは口約束でも問題が起きません。問題になるのは、気持ちや状況が変わったあとです。そのとき、お互いを守ってくれるのは書面だけです。

もうひとつ伝えたいのは、個人のクリエイターがこの法律の対象になるかどうかを、この記事では断定していないということです。確認できていないことを「大丈夫」とは書けません。共演を考えているなら、撮影の予定を立てる前に弁護士に相談してください。相談の費用は、あとで作品を取り下げたり、共演者との関係がこじれたりすることに比べれば、決して高くないはずです。契約書のひな形をインターネットで探して済ませたくなる気持ちもわかりますが、書くべき項目は作品ごとに違います。自分の作品に合わせて一緒に確認してもらうことをおすすめします。

そして、もしあなたが出演した側で、公開をやめてほしいと思っているなら、それは法律が認めている権利です。遠慮せず、相談窓口を頼ってください。条文を知っていることは、投稿する側にとっても出演する側にとっても、自分と相手を守る力になります。

— Belle Work 編集長 / 橘 美咲

この記事を書いた人

橘 美咲

編集長

記事 110本

出版社で女性誌の編集を5年経験した後、ライブチャット・配信プロダクション業界の代理店事業に転身。Belle Work創刊編集長として、チャトレ・パパ活・在宅副業に関わる女性たちに向け、煽らず批判せず冷静に現実と知恵を伝える編集方針を貫く。法律監修・税務監修との連携で、女性たちの権利保護とコンプライアンス対応を重視。執筆・監修した記事は累計1,000本超。風営法・特商法・出会い系規制法・売春防止法の業界実務に詳しい。

  • 執筆・監修1,000本超

専門領域業界コラム・法律・税務記事の編集/チャトレ・パパ活業界の実務/コンプライアンス

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