副業でいくら稼ぐと税金はいくら増えるか|手取り早見表で分かる負担の目安【税理士監修】
この記事の要約 / 読了時間:約12分(約4,800字)
副業で収入が増えると、所得税・住民税・場合によっては社会保険料がどれだけ増え、手取りにいくら残るのかを年収帯別の早見表で見える化します。「頑張った分がちゃんと残るのか」という不安に、限界税率という考え方と具体的な数字で答える構成です。経費や控除で手取りを守る正攻法、20万円ルールや年収の壁の注意点まで、業界15年の編集長視点でまとめました。税務の最終判断は税理士など専門家にご相談ください。
副業の税金が増える仕組み
「せっかく稼いだのに、思ったより手元に残らなかった」という相談は、私のもとに毎年のように届きます。まずは副業の利益にかかる負担が、所得税・住民税・社会保険料の3つに分かれることを押さえましょう。
① 所得税は本業と合算した税率でかかる
副業の所得は、本業の給与所得と合算されて所得税が計算されます(総合課税)。日本の所得税は所得が多いほど税率が上がる累進課税なので、副業分には「本業でいちばん高い税率」が上乗せで適用されるのが基本です。つまり同じ10万円の副業利益でも、本業の年収が高い人ほど手取りに残りにくくなります。この上乗せで決まる税率を「限界税率」と呼びます。
② 住民税は所得のおよそ10%が翌年に上乗せ
住民税は、所得に対しておおむね10%(所得割)が課され、副業分もこれに含まれます。特徴は「翌年払い」であることです。今年の副業所得は、翌年6月ごろから1年かけて住民税に反映されます。所得税より1年遅れて効くため、稼いだ年に使い切ると翌年の支払いで苦しくなります。
③ 社会保険料が変わる条件
会社員として本業の社会保険に入っている場合、副業が業務委託や個人事業であれば、その利益だけで社会保険料が増えることは基本的にありません。一方、パートを掛け持ちして一定の労働時間・賃金を超えると、副業先でも社会保険の加入対象になることがあります。扶養内で働く人は、この社会保険の壁が手取りに大きく影響します。
年収帯別・手取り早見表で見る負担の目安
では実際に、副業でいくら稼ぐと税金はいくら増えるのか。限界税率別の早見表で「手取りに残る割合」をつかんでいきます。
① 限界税率でおおよその手取りが決まる
副業所得に残る手取りは、「副業所得 ×(1−限界税率)」でおおよそ見積もれます。限界税率が20%の人なら副業利益の約8割、30%の人なら約7割が手取りとして残る計算です。下の早見表は、限界税率別に増える税額と手取りの目安を示したものです(復興特別所得税を含む概算。社会保険料の変動は含みません)。
| 副業の所得(利益) | 限界税率20%の人 増税額/手取り |
限界税率30%の人 増税額/手取り |
|---|---|---|
| 20万円 | 約4万円/約16万円 | 約6万円/約14万円 |
| 50万円 | 約10万円/約40万円 | 約15万円/約35万円 |
| 100万円 | 約20万円/約80万円 | 約30万円/約70万円 |
② 20万円・50万円・100万円で見る具体例
たとえば限界税率20%の会社員が副業で年50万円の利益を出すと、増える税金は所得税・住民税を合わせて約10万円、手取りは約40万円が目安です。同じ50万円でも限界税率30%の人なら、税は約15万円、手取りは約35万円になります。本業の年収が高いほど負担率が上がる点は押さえておきたいところです。
③ 早見表はあくまで目安として使う
実際の税額は、扶養や各種控除、ふるさと納税やiDeCoの有無で変わります。早見表は「だいたいこのくらい残る」という感覚をつかむもので、正確な金額は専門家の計算で確認するのが確実です。
所得税率の壁と増える分の考え方
手取りを正しく読むには、累進課税の仕組みと限界税率を理解しておくと迷いません。ここで自分の税率ゾーンを確かめておきましょう。
① 課税所得で決まる所得税率
所得税率は、収入そのものではなく、各種控除を差し引いた「課税所得」の大きさで段階的に決まります。下の表は課税所得ごとの所得税率と、住民税10%を合わせた限界税率の目安です。自分の本業がどのゾーンにいるかを知る目安になります。
| 課税所得 | 所得税率 | 住民税と合わせた限界税率 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 約15% |
| 195万〜330万円 | 10% | 約20% |
| 330万〜695万円 | 20% | 約30% |
| 695万〜900万円 | 23% | 約33% |
| 900万円超 | 33%〜 | 約43%〜 |
② 副業所得20万円ルールの本当の意味
「副業が年20万円以下なら申告不要」と聞いたことがある人は多いはずです。これは給与を1か所から受けている会社員が対象の、所得税の確定申告に関するルールです。ただし住民税にはこの20万円の基準がなく、20万円以下でも申告が必要になります。「何もしなくてよい」という誤解は避けたいところです。
③ 限界税率で残る割合を把握する
副業を増やすかどうか迷ったときは、限界税率を使って「あと10万円稼いだら手取りはいくら増えるか」を先に計算しておくと判断が楽になります。限界税率30%の人なら、10万円の副業利益で手取りは約7万円増える計算です。
住民税・社会保険で見落としやすい点
所得税ばかりに目が向きがちですが、実は住民税と社会保険にこそ、見落としやすい注意点が隠れています。
① 住民税は少額でも申告が必要
前述のとおり、副業所得が20万円以下でも住民税の申告は必要です。申告を怠ると、後から追徴や延滞のリスクがあり、所得証明の発行にも影響します。少額だからと放置せず、住民税の申告だけは済ませておくことをおすすめします。
② 扶養と社会保険の年収の壁
配偶者の扶養内で働く人は、税金の壁だけでなく社会保険の壁にも注意が必要です。一定の収入を超えると自分で社会保険料を負担することになり、手取りが一時的に減る区間が生じます。超えるなら余裕を持って超える設計にしておくと安心です。
③ 住民税から副業が知られる仕組み
副業を勤務先に知られたくない場合、住民税の徴収方法が鍵になります。住民税を「自分で納付(普通徴収)」に選べる場合、副業分を本業の給与天引きと分けられることがあります。ただし所得区分や自治体によって取扱いが異なるため、事前に自治体へ確認しておくと安心です。
手取りを増やす正攻法
税金は「所得」に対してかかるからこそ、正しく所得を圧縮すれば手取りは守れます。脱法ではなく、認められた範囲を取りこぼさないという発想が基本です。
① 経費で所得を圧縮する
副業の税金は売上ではなく、売上から経費を引いた「所得」で決まります。通信費・消耗品・取材や打ち合わせの交通費・業務用のサブスク代など、事業に直接かかった支出は経費になります。在宅なら家賃や光熱費の一部を合理的な割合で按分することも認められます。
② 青色申告特別控除を活かす
副業が事業所得と認められる規模なら、青色申告を選ぶことで最大65万円の特別控除を受けられます。所得から直接差し引ける大きな控除で、節税効果の大きい正攻法です。開業届と青色申告承認申請書の提出、複式簿記での記帳などが要件です。区分の判断は個別の事情で異なるため、正確な判断は専門家にご相談ください。
③ 所得控除・ふるさと納税の合わせ技
iDeCoの掛金は全額が所得控除になり、副業所得の増加分をやわらげます。ふるさと納税は、副業で所得が増えた分だけ控除の上限枠も広がるため、上限内なら実質的な負担を抑えつつ返礼品を受け取れます。併用するときは条件や上限を早めに試算しておくと使いこなしやすいです。
・売上:70万円
・経費:20万円 → 所得:50万円
・増える税金(所得税+住民税):約10万円
・手取り:約40万円
※青色申告特別控除やiDeCoを使えば、課税される所得はさらに下がります。
頑張った分を残すための年間の動き方
税金は前もって備えるほど軽くなります。最後に、手取りを最大化するための1年の段取りを整理します。
① 副業所得の見込みを早めに把握する
年の途中で副業所得の見込みを把握しておくと、経費の使い方や控除の準備を前倒しできます。会計ソフトで売上と経費を月次で入力しておけば、年末に「思ったより税金が高い」と慌てずに済みます。
② 壁のラインで働き方を選ぶ
20万円ルールや扶養の壁など、いくつかのラインの手前と先で手取りの伸び方が変わります。壁の直前でとどめるのか、大きく超えて稼ぐのか、どちらが自分に合うかは早見表で試算して選ぶのがおすすめです。
③ 迷ったら早めに専門家へ
経費の線引きや所得区分、控除の併用など、判断に迷う場面は必ず出てきます。税務署の無料相談窓口も活用でき、副業が育ってきたら税理士に依頼するのも有効です。個別の事情で取扱いが異なるため、正確な判断は専門家にご相談ください。
・副業の売上と経費を月次で記帳しているか
・自分の限界税率(税率ゾーン)を把握しているか
・20万円以下でも住民税の申告を予定しているか
・翌年払いの住民税分を手元に残しているか
・青色申告・iDeCo・ふるさと納税の枠を試算したか
よくある質問
副業が20万円以下なら本当に何もしなくていいですか。
所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告は必要です。20万円ルールは所得税だけの基準で、住民税は別扱いになります。少額でも住民税の申告だけは済ませておくことをおすすめします。
副業で稼いだ分は、だいたい何割が手取りに残りますか。
本業の限界税率によります。限界税率20%の人なら約8割、30%の人なら約7割が目安です。社会保険や扶養の壁を超える場合は、さらに変わってきます。
経費を増やせば税金はいくらでも減らせますか。
減らせるのは、事業に本当に必要な支出を正しく計上した範囲までです。実態のない経費の計上は認められず、リスクが大きいため避けてください。判断に迷う場合は専門家にご相談ください。
副業の税金はいつ払うことになりますか。
所得税は翌年の確定申告(例年2〜3月)で精算し、住民税は翌年6月ごろから1年かけて納めます。稼いだ年に使い切らず、支払い分を残しておくと安心です。
副業を会社に知られたくないのですが可能ですか。
住民税の納付方法によって分けられる場合がありますが、所得区分や自治体で取扱いが異なります。給与所得の副業だと分けられないこともあるため、事前に自治体へ確認するのが確実です。
この記事を書いた人

橘 美咲
編集長
記事 108本
出版社で女性誌の編集を5年経験した後、ライブチャット・配信プロダクション業界の代理店事業に転身。Belle Work創刊編集長として、チャトレ・パパ活・在宅副業に関わる女性たちに向け、煽らず批判せず冷静に現実と知恵を伝える編集方針を貫く。法律監修・税務監修との連携で、女性たちの権利保護とコンプライアンス対応を重視。執筆・監修した記事は累計1,000本超。風営法・特商法・出会い系規制法・売春防止法の業界実務に詳しい。
- 執筆・監修1,000本超
専門領域業界コラム・法律・税務記事の編集/チャトレ・パパ活業界の実務/コンプライアンス
この記事の監修
- 税理士増本 良之
専門家が内容を確認しています。




