下請法の適用範囲
下請法とは
下請法(正式名称:下請代金支払遅延等防止法)は、親事業者(資本金が大きい発注者側)と下請事業者(資本金が小さい受注者側)の取引を公正にするために1956年に制定された法律です。親事業者の優越的地位の濫用を防ぐ独占禁止法の補完法規で、書面交付義務・60日以内支払・受領拒否禁止・買いたたき禁止・報酬減額禁止など、さまざまな保護ルールが定められています。違反すると公正取引委員会から勧告・公表が行われ、社名公表のダメージは大きいため、多くの大企業はコンプライアンス上、強く意識して運用しています。フリーランス保護新法と並ぶ重要な「下請保護」の法律です。
適用される取引と資本金要件
下請法の適用には①取引の種類と②資本金の組み合わせという2要件があります。①は製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託の4種類で、Web制作・記事執筆・動画編集・チャトレ業務の代理店契約なども一般に「情報成果物作成委託」「役務提供委託」に該当します。②の資本金要件は、たとえば情報成果物作成委託の場合、親事業者の資本金が5,000万円超で下請事業者が5,000万円以下、または親事業者の資本金が1,000万円超〜5,000万円以下で下請事業者が1,000万円以下、というように区分されています。資本金1,000万以下の中小ライバー事務所からの委託は対象外になることもある点に注意が必要です。
親事業者に課される主な義務・禁止事項
親事業者には、①発注書面の交付、②書類の作成・保存(取引記録を2年間保管)、③下請代金の支払期日設定(受領から60日以内)、④遅延利息(年14.6%)の支払い、の4義務が課されます。さらに、⑤受領拒否、⑥支払遅延、⑦下請代金の減額、⑧返品、⑨買いたたき、⑩購入・利用強制、⑪報復措置、⑫有償支給原材料代金の早期決済、⑬割引困難な手形交付、⑭不当な経済上の利益提供要請、⑮不当な給付内容変更・やり直し、の11禁止事項があります。これらに違反すると、勧告・社名公表・公正取引委員会による調査の対象になります。
女性向け副業現場での適用
女性が関わる現場では、Webライティング案件・SNS運用代行・動画編集・記事リライト・配信代理店業務が下請法の対象になりやすいです。たとえば、資本金5,000万円超のWebメディアからフリーランスのライターが受注している場合、原稿納品から60日を超える支払いは違法です。また、納品後の一方的な書き直し要求、報酬減額、突然の発注取消は、いずれも禁止事項に該当する可能性があります。発注書がない、見積もりがメッセージだけで残っていない、という場合は、それ自体が下請法違反として通報の対象になります。フリーランス保護新法と適用が重なる場合、被害者はどちらの窓口にも相談できます。




