法律

脅迫罪・強要罪

読み
キョウハクザイキョウヨウザイ
更新

脅迫罪と強要罪の違い

脅迫罪(刑法222条)は、人の生命・身体・自由・名誉・財産に害を加える旨を告げて相手を畏怖させる罪で、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。強要罪(刑法223条)はその脅迫を手段として、相手に義務のないことを行わせる、または権利の行使を妨害した場合に成立し、3年以下の拘禁刑とより重く処罰されます。「実家に乗り込む」「画像をSNSに晒す」「家族にバラす」といった発言は、結果的に何もしなくても告知だけで脅迫罪が成立する可能性があります。脅して土下座させた、退会届を書かせた、自撮りを送らせた、などの場合は強要罪に発展します。

成立要件と「畏怖」の判断基準

脅迫罪は、①害悪の告知、②それが告知者の支配下にあると客観的に受け取れる内容、③相手が現実に畏怖したかどうかは問わず一般人基準で恐怖を覚える内容、を満たすと成立します。「殺すぞ」「家を燃やす」のような直接的言葉だけでなく、「お前の住所知ってるよ」「家族の名前を全部把握している」といった間接的表現でも要件を満たすと判断されることがあります。LINEのスタンプ、絵文字、ボイスメッセージ、配信中の発言も証拠になり、削除されてもサーバー側のログで復元されるケースが多いことに注意してください。

パパ活・チャトレ現場で起きる典型

代表的なパターンは、①パパ側が「会社にバラす」「家族に連絡する」と告げて関係継続を強要、②客が「画像をSNSに晒す」と脅して無料ライブを要求、③同業者から「やめないとアカウント凍結させるぞ」と言われる、④元交際相手が「お前のチャトレ垢を全部凍らせる」と発言、などです。これらはすべて脅迫罪または強要罪に該当する可能性が高く、警察に相談すれば被害届が受理されるレベルの事案です。「自分にも非があるから」「副業がバレるのが嫌で」と被害を抱え込まないでください。違法行為を脅迫材料に使うこと自体が独立した犯罪です。

被害に遭った時の動き方

まずすべてのやり取りをスクリーンショット・録画・録音で保存してください。LINE・DM・配信のチャット欄・電話の通話録音は強力な証拠になります。次に最寄りの警察署生活安全課または警察相談窓口#9110に連絡し、被害届の提出を検討します。同時に、相手が現職場や家族の連絡先を知っている場合は、住民票の閲覧制限や接近禁止仮処分も視野に入れてください。弁護士費用を心配する場合は、各都道府県の弁護士会の犯罪被害者法律相談、法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、初回無料~自己負担を抑えた相談が可能です。動き出すほど相手の攻勢は弱まります。

「副業がバレるのが嫌だから黙っていた」というご相談を本当によく受けます。でも、脅迫や強要をしてくる相手は、こちらが黙っているほどエスカレートしていきます。私が現場でずっと言っているのは、「相手の脅し文句が事実かどうかは関係ない」ということです。たとえ副業が会社の規定違反だったとしても、それを脅迫材料に使うことは別個の犯罪であり、警察も裁判所もそこを峻別して扱ってくれます。怖いのは、自分の弱みを握られていると感じた瞬間に、判断力が大幅に落ちてしまうこと。第三者の冷静な目を入れることが、被害を最小化する最大のコツです。証拠を消さない、相手と一対一で交渉しない、運営や警察にすぐ相談する——この3点を覚えておいてください。守られる仕組みは、ちゃんと用意されています。

— Belle Work 編集長 / 橘 美咲