在宅・副業

産休・育休中に始める在宅副業|収入減をカバーする無理のない働き方ガイド

公開
執筆
菊池 ゆり

この記事の要約 / 読了時間:約9分(約5,100字)

産休・育休に入ると手取りが下がり、まとまった時間も取りにくくなります。だからこそ、細切れ時間で中断しやすい在宅副業が向いています。育児給付金との兼ね合い、体調を最優先に無理なく続けるコツ、当事者に取材した声までを、初心者目線でまとめました。下がった収入の一部を補う、現実的な始め方をお伝えします。

産休・育休中の家計と副業という選択肢

産休・育休に入ると、これまでの給与から手当や給付へと収入の形が変わり、手取りが下がる家庭は少なくありません。まとまった働き方が難しい時期に、家計をどう補うかを整理します。

① 収入がどう変わるか

産休中は出産手当金、育休中は育児休業給付金が支給されるのが一般的です。育児休業給付金は、開始からおおむね180日までは休業前賃金の67%程度、それ以降は50%程度が目安です。手厚く感じても支出が増える時期で、「思ったより余裕がない」という声をよく聞きます。まずは毎月いくら減るのかを把握しておくことが出発点です。

② 「無理なく補う」という考え方

大切なのは、元の給与と同じ額を副業で取り戻そうとしないことです。産後の体調や育児の負担を考えると、現実的ではありません。取材した先輩ママの多くは、下がった分のうち月1〜3万円ほど補えれば十分、という距離感で始めていました。完璧を目指さず、できる範囲で少しずつ、が長続きの前提です。

③ 取材で見えた始める動機

印象的だったのは、動機がお金だけではなかったことです。「社会とつながっていたい」「自分の名前で何かを続けたい」という声が多く、収入は結果としてついてくる、と向き合う方が目立ちました。無理なく続く形を先に決めた人ほど、育休明けまで自然に続いていました。

区分 収入の目安 備考
出産手当金(産休中) 標準報酬日額の約3分の2 健康保険から支給
育児休業給付金(開始〜180日) 休業前賃金の約67% 上限額あり
育児休業給付金(181日〜) 約50% 期間で割合が下がる
副業で補う目安 月1〜3万円から 体調と時間に合わせて

育児給付金と副業の関係で知っておきたいこと

育休中に働くと給付金が減るのでは、という不安はよく聞きます。制度は細かく状況で扱いが変わるため、要点と確認先を先に押さえておくことが大切です。

① 育休中の「就業」には目安がある

育児休業給付金は、休業が前提の制度です。支給期間中に働く場合、就業日数や時間に目安があり、それを超えると給付に影響することがあります。特に勤務先と雇用契約を結んで働くケースは影響が出やすいため、事前に確認しておくと安心です。

② 雇用ではない在宅ワークの扱い

クラウドソーシングやハンドメイド販売のように、雇用契約ではなく自分の事業として行う副業は、雇用としての「就業」とは扱いが異なる場合があります。ただし副業規定や給付の考え方は会社ごとに違い、一律に「大丈夫」とは言い切れません。適用は個々の状況で変わるため、勤務先・ハローワーク・社会保険労務士など専門家に確認することをおすすめします。

③ 税金・扶養の視点も忘れずに

副業で得た所得が一定額を超えると、確定申告や住民税、扶養の範囲といった話も関わってきます。産休・育休中でも所得が発生すれば申告の対象になり得ます。金額の線引きや自分のケースの扱いは、税理士など専門家に相談すると確実です。こわがりすぎず、始める前に大枠を知っておくと落ち着いて取り組めます。

細切れ時間でも続けやすい在宅の仕事

授乳や寝かしつけの合間は、まとまった時間が取りにくいものです。中断しても再開しやすく、締め切りに追われにくい仕事を選ぶのが、この時期のコツになります。

① スキマ時間向きの仕事の特徴

向いているのは、短い時間で区切れて、途中で止めても支障が出にくい仕事です。納期にゆとりがある、単発で受けられる、リアルタイムの対応を求められない、といった条件がそろうものが続けやすいです。読めない状況でも、気持ちに余裕を持って取り組めます。

② 具体的な仕事の種類

取材でよく挙がったのは、アンケートやモニター、データ入力、Webライティング、ハンドメイド作品や写真の販売などです。少額から始められて中断しやすく、初めての副業として選ばれやすい印象でした。下の表に目安をまとめました。金額は案件により幅があります。

仕事 1回の作業時間 収入の目安 中断しやすさ
アンケート・モニター 数分〜 月数百〜数千円前後 とてもしやすい
データ入力 15〜30分〜 案件により変動 しやすい
Webライティング 30分〜 1文字0.5〜2円前後 ややしやすい
ハンドメイド・写真販売 自分のペース 売れた分 しやすい

③ 避けたほうが無難な条件

逆に無理をしやすいのが、常時の連絡対応が必要なもの、時間を指定されるリアルタイムの仕事、短い納期が連続するものです。単価が高く見えても、子どもの体調ひとつで約束を守れなくなり、心の負担になりがちです。まずは「守れなくても大ごとにならない」仕事から始め、余裕が出たら幅を広げる進め方が安心です。

体調とペースを最優先にする続け方

産後は体の回復と睡眠不足が重なり、思うように動けない日もあります。副業は「休んでよいもの」と位置づけ、体調に合わせて続けることが、結果的にいちばんの長続きのコツです。

① 目標は小さく、変えられる形に

「月◯円」と固定した目標を立てると、達成できない月に自分を責めがちです。取材した方の多くは、金額よりも「今日は10分だけできた」という積み重ねを大事にしていました。目標は小さく、体調に応じて上げ下げできる形にすると、罪悪感なく続けられます。できなかった日も、回復の時間だと考えてよいと思います。

② 休む前提でスケジュールを組む

子どもの体調は予測できません。だからこそ、最初から「休む日がある前提」で予定に余裕を持たせておくことが大切です。締め切りには長めのゆとりを取り、詰め込みすぎないようにします。順調なときに少し先まで進めておくと、動けない日が来ても慌てずにすみます。

③ 取材でわかった続く人の共通点

見えてきたのは、意外にも「頑張りすぎない人」ほど続いていたという共通点です。無理をして体を壊すと、副業どころか育児そのものがつらくなります。上手に手を抜き、家族を頼り、できない日を許せる人が、育休明けまで穏やかに続けていました。細く長く、が産休・育休中の副業には合っています。

始める前に整えたい環境と段取り

始めてから慌てないために、最初に環境と段取りを整えておくと安心です。短時間ですぐ作業に入れる工夫が、貴重な細切れ時間を生かす鍵になります。

① 作業環境の最小セット

特別な機材は要りません。スマートフォンかパソコンがあれば始められる仕事が多いです。ポイントは「思い立ったらすぐ開ける」状態にしておくこと。よく使うサイトはブックマークにまとめ、書きかけの作業は開いたままにしておくと、5分の空き時間でも手を付けられます。通知をオフにするのもおすすめです。

② 家族と共有しておくこと

副業を始めることは、パートナーや家族にひと言伝えておくと後が楽です。何のために、どのくらいの時間、どんな仕事をするのかを共有すると、応援してもらいやすくなります。取材でも、家族の理解がある人ほど無理なく続けられていました。下は、パートナーに伝えるときの一言の例です。

育休の間、無理のない範囲で在宅の副業を少しだけ始めてみようと思っています。
子どもが寝ている合間に、スマホでできるものから試す予定です。
体調が優先なので、しんどい日は迷わず休みます。
うまくいったら家計の足しにもなるので、応援してもらえるとうれしいです。

③ お金と記録の管理

少額でも、収入と経費は始めから記録しておくと安心です。いくら受け取り、何にいくら使ったかをメモしておくと、後で申告が必要になったときに慌てずにすみます。生活費と副業用の口座を分けておくと、収支が見えやすくなります。金額が大きくなってきたら、税理士など専門家に一度相談しておくと迷わずにすみます。

復職・卒業後まで見据えたステップ

育休中に始めた副業は、収入の補いだけでなく、復職後の働き方の選択肢を広げてくれます。無理のない範囲で経験を積み、次につなげる視点を持っておくと役立ちます。

① 小さな実績を残す

受けた仕事は、たとえ小さくても記録に残しておくのがおすすめです。よい評価や、作った作品、書いた記事は、そのまま次の案件を得るときの実績になります。取材した方の中には、育休中の実績をきっかけに、復職後も在宅の仕事を続けている人が何人もいました。最初の一歩が、思わぬ形で先につながることがあります。

② 復職後の働き方に生かす

在宅で自分のペースで働いた経験は、復職後の働き方を考える材料になります。時短勤務や在宅勤務を選ぶか、副業を続けるか。実際にやってみたからこそ、自分に合う形が見えてきます。復職のタイミングで、その時々の状況に合わせて調整すればよいと思います。

③ 焦らず自分のペースで

周りと比べて焦る必要はありません。育児をしながら少しでも前に進めていること自体が、十分に価値のあることです。取材の最後によく聞いたのは、「あのとき無理しなくてよかった」という言葉でした。自分と子どものペースを大切に、細く長く続けていく。それが、この時期にいちばん合った付き合い方だと感じています。

よくある質問

育休中に副業をしても、育児給付金はもらえますか。

育児休業給付金は休業が前提の制度で、就業日数や時間に目安があり、状況によって影響することがあります。雇用ではない在宅ワークは扱いが異なる場合もありますが、適用は個々のケースで変わります。勤務先やハローワーク、社会保険労務士など専門家に確認することをおすすめします。

まとまった時間が取れなくても、少しは稼げますか。

数分で区切れるアンケートやモニター、中断しやすいデータ入力などから始めれば、細切れの時間でも少額から積み上げられます。最初から大きな金額を狙わず、下がった収入の一部を補うつもりで取り組むと無理がありません。

産後すぐに始めても大丈夫でしょうか。

体の回復が何より優先です。産後は無理をせず、体調と気持ちに余裕が出てきてから、短時間でできることを少しずつ試すのがおすすめです。始める時期に決まりはありませんので、自分のペースで構いません。

副業をしていることが勤務先に知られませんか。

まずは勤務先の就業規則で副業の可否を確認しておくと安心です。住民税の扱いなどで会社に伝わる場合もあり、判断が難しいところです。心配なときは、税理士や社会保険労務士など専門家に相談しておくと落ち着いて取り組めます。

どのくらい稼げれば十分と考えればよいですか。

正解は人それぞれです。取材した方の多くは、下がった収入のうち月1〜3万円ほどを補えれば十分、という距離感で始めていました。金額を固定せず、できた分を積み上げるくらいの気持ちのほうが、無理なく続けやすいです。

取材ライターとして5年、働く女性のライフステージの節目を数えきれないほど取材してきました。中でも産休・育休中の方への取材では、「収入が減るのが不安」「でも体はしんどい」という、相反する気持ちのはざまで揺れる声を何度も聞いてきました。

この記事でいちばんお伝えしたかったのは、産休・育休中の副業は「頑張って稼ぐもの」ではなく「無理なく続けられる形を選ぶもの」だということです。下がった分をすべて取り戻そうとせず、細切れの時間でできることを、体調を最優先に少しずつ。その距離感でいる人ほど、穏やかに続けていました。

制度の細かい部分は不安になりやすいところですが、迷ったら一人で抱えず、勤務先や専門家に確認すれば大丈夫です。まずはスマホでできる小さな一歩から。あなたと赤ちゃんのペースを何より大切にしながら、自分のための時間を少しだけ取り戻していけますように。心から応援しています。

— Belle Work 取材ライター / 菊池 ゆり

この記事を書いた人

菊池 ゆり

取材ライター

記事 74本

女性向けライフスタイル誌・キャリアメディアで取材ライター歴5年。これまでに100名以上の女性副業家・フリーランス・経営者への取材経験を持つ。Belle Work取材ライターとして、在宅副業(Webライティング・SNS運用代行・動画編集・ハンドメイド・物販等)、お金・税務・確定申告、副業女性のライフプラン設計などの実践的記事を担当。FP3級保有。「数字で考える」「データで判断する」スタイルで、副業女性たちが長期的にキャリア・人生を設計するための具体的なノウハウを発信している。

  • 取材ライター歴5年
  • 取材100名以上 / FP3級

専門領域在宅副業(Webライティング・SNS運用代行・動画編集等)/お金・税務・確定申告/ライフプラン設計

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