債務不履行
債務不履行とは
債務不履行とは、契約などによって負っている義務(=債務)を、正当な理由なく約束どおりに果たさないことをいいます。民法に定められた基本的な考え方で、義務を果たしてもらえなかった相手方(債権者)は、損害賠償の請求や契約の解除を求められる場合があります。債務不履行は大きく3つのタイプに分けて理解すると整理しやすいです。ひとつめは「履行遅滞」で、期限までにやるべきことをしなかったケース。たとえば副業の受注案件で、納期を過ぎても成果物を納品しない状態がこれにあたります。ふたつめは「履行不能」で、約束したことがもう果たせなくなったケース。発注した商品が焼失して二度と手に入らない、といった状況です。みっつめは「不完全履行」で、いちおう履行はしたものの内容が契約どおりでないケース。納品されたデータに欠陥があった、といった場面が該当します。身近な例では、報酬を支払う約束をしたクライアントがいつまでも入金してくれない、というのも立派な債務不履行です。なお、個別の契約が実際に債務不履行にあたるかどうかは事情によって変わるため、具体的な対応は弁護士など専門家に相談すると安心です。
副業・在宅ワークで起こりやすい債務不履行
フリーランスや副業でお仕事を受けるようになると、債務不履行はぐっと身近な問題になります。よくあるパターンを挙げると次のとおりです。①納品したのに報酬が支払われない(クライアント側の支払義務の不履行)。②発注者から「やっぱり要らない」と一方的に言われ、着手済みの作業が無報酬になりそうになる。③逆に自分が体調不良などで納期に間に合わず、こちら側が履行遅滞に陥ってしまう。とくに個人間・SNS経由の口約束の取引ではトラブルが起こりやすく、「言った・言わない」で揉めがちです。報酬未払いのケースでは、相手にわざと・不注意(過失)があったと言えれば、未払い分に加えて損害の賠償を求められる可能性があります。ただし、相手方に落ち度がなくやむを得ない事情があった場合など、責任を問えないこともあります。判断がむずかしい領域なので、金額が大きい・こじれそうだと感じたら早めに専門家へ相談してください。
トラブルを防ぐコツと、起きたときの対応
債務不履行のトラブルは、事前の備えで大きく減らせます。まず予防のコツは、①仕事内容・報酬額・支払期日・納期を書面(メールやチャットの文面でも可)に残すこと。②着手前に一部を前払いしてもらう、あるいは分割で受け取る取り決めにすること。③修正回数や追加費用の条件をあらかじめ決めておくこと。この3つを押さえるだけで、後から「聞いていない」と言われるリスクが下がります。それでも未払いなどが起きてしまったら、いきなり感情的にならず、①まずは支払いや納品を求める連絡を記録が残る形で送る、②それでも応じない場合は内容証明郵便で正式に催促する、③少額なら少額訴訟という手続きも選択肢になります。時間の経過で請求できる権利がなくなってしまう「時効」にも注意が必要です。「泣き寝入りするしかない」と思い込む前に、消費生活センター(188番)や弁護士の無料相談などを頼ってください。自分の状況に合った進め方は、必ず専門家に確認することをおすすめします。
代理店時代から、在宅ワークで頑張る女性が「納品したのにお金がもらえない」と肩を落とす姿を何度も見てきました。多くの方が、それが債務不履行という立派な権利の問題だと知らず、自分が悪いのかもと抱え込んでしまう。だから私は、記録を残す習慣だけは口を酸っぱくしてお伝えしています。やり取りをスクリーンショット一枚残しておくだけで、いざというときの心強い味方になります。あなたの働きには、ちゃんと対価を受け取る権利があります。ひとりで抱えず、遠慮なく専門家を頼ってくださいね。
— Belle Work 編集長 / 橘 美咲


