法律

パブリシティ権

読み
パブリシティケン

パブリシティ権とは

パブリシティ権とは、著名人の氏名・肖像・声などが持つ「顧客を引きつける経済的な価値(顧客吸引力)」を、本人が独占的に利用できる権利のことです。芸能人・モデル・スポーツ選手・インフルエンサーなどの名前や写真は、それ自体が商品の売上を左右する力を持つため、無断で広告やグッズに使われると本人の利益が損なわれてしまいます。それを守るのがパブリシティ権です。日本では法律の条文にはっきり書かれているわけではなく、2012年の最高裁判決(いわゆるピンク・レディー事件)によって権利として認められた、比較的新しい考え方です。たとえば、有名人の写真を勝手にサプリメントの広告に使ったり、名前をブランド名に流用したりする行為は、パブリシティ権の侵害にあたる可能性があります。一方で、雑誌記事で人物を紹介するなど「情報として名前や写真を使う」場合は侵害にならないとされ、線引きは「もっぱら顧客吸引力の利用を目的としているかどうか」で判断されると考えられています。

肖像権との違い

よく混同されるのが「肖像権」との違いです。肖像権は、有名・無名を問わず誰もが持つ「自分の姿を勝手に撮影・公表されない」という人格的な権利で、精神的な安心を守るものです。これに対してパブリシティ権は、名前や姿が持つ「お金を生み出す力」という財産的な側面に着目した権利で、実際には著名人について問題になることがほとんどです。つまり、①一般の人が無断で写真を撮られて傷ついた→肖像権の問題、②有名人の写真が無断で商品広告に使われ経済的損害が出た→パブリシティ権の問題、というイメージです。両者は重なり合う場面もあり、一つの出来事で同時に問題になることもあります。SNS時代は個人でも影響力を持ちやすく、境界はあいまいになりつつあります。

副業・チャトレ・パパ活で気をつけたいこと

副業で発信活動をする女性にとって、パブリシティ権は「守る側」にも「侵害しないよう気をつける側」にもなり得る身近なテーマです。守る側の視点では、①自分の配信画面のスクショや写真を、事務所や第三者が無断で宣伝素材に使っていないか、②プロフィール写真や芸名がグッズ・広告に勝手に転用されていないか、を意識しておくと安心です。逆に侵害しないための注意として、③芸能人の名前や写真を使って「〇〇さんも愛用」などと集客に利用しない、④他人の顔写真を無断でアイコンや宣伝に使わない、といった点が挙げられます。特に商用利用は判断が難しく、契約書に「肖像・氏名の利用範囲」が書かれていることも多いので、サインする前に必ず読み込みましょう。実際にトラブルになりそうなときや利用範囲の判断に迷うときは、自己判断で進めず、弁護士など専門家に個別の状況を相談することをおすすめします。

代理店時代、演者さんの宣材写真の扱いを巡る相談を何度も受けてきました。「引退したのに昔の写真がまだサイトに載っている」「別の店に勝手に画像を使われた」——本人が積み上げてきた価値を、他人が無断で利用してしまうケースは想像以上に多いのです。名前も写真も、あなた自身が育てた財産。だからこそ、契約書に「どこまで、いつまで使ってよいか」をきちんと書き込んでおくことが、自分を守る一番の盾になります。発信する人ほど、この権利を知っておいてほしいと思います。

— Belle Work 編集長 / 橘 美咲