契約解除
契約解除とは
契約解除とは、いったん有効に成立した契約を、当事者の一方の意思表示(または双方の合意)によって解消し、契約の効力を失わせることをいいます。民法では大きく「法定解除」と「約定解除」に分けられます。法定解除は、相手が代金を払わない・納品しないといった債務不履行があったときに、法律の規定にもとづいて認められる解除です。約定解除は、契約書のなかであらかじめ「こういう場合は解除できる」と定めておいた条項にもとづく解除を指します。たとえば、在宅ワークの業務委託で依頼した成果物が納期を大きく過ぎても納品されない場合、催告(=期限を切って督促すること)をしたうえで契約を解除できることがあります。また、サブスク型のサービスで規約に解約条件が定められていれば、その条件に従って契約を終わらせることも約定解除の一種といえます。解除の効果や手続きは契約の種類によって細かく異なるため、金額の大きい契約や込み入ったトラブルは、個別の状況を弁護士など専門家に相談するのが安心です。
「解除」と「解約」「取消」「無効」の違い
契約解除と混同されやすい言葉に「解約」「取消」「無効」があります。ざっくり整理すると次のとおりです。①解除…成立した契約を、債務不履行や約定にもとづいて後から解消すること。原則として契約の時点にさかのぼって効力を失わせます(遡及効)。②解約…賃貸借や委任などの継続的な契約を、将来に向かって終わらせること。すでに経過した部分の効力は残ります。③取消…だまされた(詐欺)・おどされた(強迫)など、意思表示に問題があった契約を取り消すこと。④無効…そもそも契約として効力が生じていない状態(公序良俗違反など)。日常会話では「解約」と「解除」がほぼ同じ意味で使われがちですが、法律上は遡及効の有無などで区別されます。トラブルの場面では、自分のケースがこのどれに当たるのかを見極めることが解決の第一歩になります。
契約解除の基本的な手順
債務不履行を理由に契約を解除する場合、多くのケースで「催告」が必要になります。基本の流れは次のとおりです。①相手に対して「いつまでに履行してください」と相当の期間を定めて督促する(催告)。②その期間内に相手が履行しなければ、あらためて解除の意思表示を行う。③解除の通知は、あとで「言った・言わない」の争いにならないよう、内容証明郵便など記録が残る方法で送るのが安全です。ただし、契約の性質上その日を過ぎたら意味がない取引(お中元などの定期売買)や、そもそも履行が不能になった場合は、催告なしで解除できることもあります。契約書に解除条項があるときは、その条件・通知方法・予告期間を必ず確認しましょう。手続きを一つ誤ると「解除は無効だ」と相手から主張されることもあるため、不安があれば早めに専門家へ相談することをおすすめします。
副業・在宅ワークで契約解除が問題になる場面
副業や在宅ワークでは、業務委託契約をめぐって解除が問題になることがあります。よくあるのは、①発注者が一方的に「もう発注しない」と言い、着手済みの報酬が支払われないケース、②高額なスクールやツールを契約させられ、あとから解除したいケースです。①では、契約書に中途解除の条項があるか、すでに行った作業分の報酬(履行の割合に応じた報酬)を請求できるかがポイントになります。②では、勧誘の形態によってはクーリングオフや中途解約の規定が使えることもあります。口約束だけで進めると解除できるかどうかが曖昧になりがちなので、業務範囲・報酬・解除条件を書面(メールでも構いません)で残しておくことが自衛になります。少しでも不安があれば、契約前に条件をよく読み、必要に応じて消費生活センターや専門家に相談しましょう。
代理店やメディアの現場で、女性からの契約トラブル相談を数え切れないほど見てきました。多いのは「解除できると思っていたのに、契約書をよく読んだら違約金が発生した」というパターンです。契約解除は”いつでも自由にできる”わけではなく、種類ごとにルールが決まっています。だからこそ、サインをする前に解除条件の欄だけは必ず読んでほしい。読んでもわからなければ、その場で契約しない勇気を持つこと。一晩置いて冷静に判断するだけで、防げるトラブルはたくさんあります。
— Belle Work 編集長 / 橘 美咲


