副業女性の減価償却入門|パソコン・カメラなど10万円以上の機材の経費計上【税理士監修】

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副業のために買ったパソコンやカメラが10万円を超えると、その年に全額を経費にできず「減価償却」で少しずつ費用にするのが原則です。10万円・20万円・30万円という金額のラインで落とし方が変わる仕組みを、機材別の耐用年数、少額減価償却資産の特例、一括償却資産の使い分けまで業界15年の編集長視点で整理しました。税務の最終判断は税理士にご相談ください。

目次

  1. 10万円以上の機材が一括経費にできない理由
  2. 副業機材の耐用年数と償却のしくみ
  3. 金額別・3つの経費の落とし方
  4. 少額減価償却資産の特例を使う条件
  5. 記帳と確定申告での書き方
  6. 買う前・買った後に気をつけること

10万円以上の機材が一括経費にできない理由

副業用に少し良いパソコンやカメラを買った女性から、「全額を経費にしたら指摘された」という相談をよく受けます。まず、なぜ一括で落とせないのかを押さえます。

① 10万円のラインが「消耗品費」と「固定資産」を分ける

取得価額が10万円未満のものは、原則としてその年の消耗品費として全額を経費にできます。一方、10万円以上は長く使う「固定資産」とみなされ、買った年に全額を落とせません。副業で数年使うパソコンやカメラは資産として扱われ、使う期間に分けて費用にする考え方になります。知らずに全額計上すると、あとで修正を求められることがあります。

② 減価償却という分割計上の考え方

減価償却とは、高額で長く使う資産の取得価額を、使えると見込まれる年数に分けて少しずつ経費にする仕組みです。たとえば20万円のカメラを4年で分けるなら、1年あたりおよそ5万円ずつを費用にするイメージです。価値が減るのに合わせて経費化する、という発想が土台です。

③ 判定は税込か税抜か

10万円の基準を判定する金額は、経理方式によって変わります。消費税の免税事業者や税込経理の場合は「税込価格」で、税抜経理の課税事業者は「税抜価格」で判定します。副業を始めたばかりの女性の多くは免税事業者にあたるため、税込の支払総額で10万円を超えるかどうかを見ることが多いです。

副業機材の耐用年数と償却のしくみ

減価償却では「何年で分けるか」が大切で、この年数は自分で決めるのではなく資産ごとに法律で決められています。

① パソコン・カメラなど機材別の法定耐用年数

資産を何年で償却するかは「法定耐用年数」として国が定めており、機材の種類ごとに異なります。副業でよく使う機材の目安は下の表のとおりです。同じ「パソコン」でも、用途で区分が分かれることがあります。

機材法定耐用年数の目安
パソコン(一般的なノート・デスクトップ)4年
デジタルカメラ・一眼レフ5年
撮影用の照明・三脚などの器具備品おおむね5〜8年
業務用ソフトウェア5年

② 定額法と定率法の違い

償却の計算方法には、毎年同じ額を費用にする「定額法」と、初めの年ほど多く費用にする「定率法」があります。個人事業主の場合、届出をしなければ定額法が原則です。副業では計算が分かりやすい定額法を選ぶ人が多く、定率法を使いたいときは税務署への届出が必要になります。

③ 使い始めた月からの月割り計算

減価償却は、その資産を事業に使い始めた月から計算します。年の途中で買った場合、初年度は1年分ではなく「使った月数 ÷ 12」で按分した金額になります。たとえば9月に使い始めたなら初年度は4か月分だけが経費で、基準は買った日ではなく「事業に使い始めた月」です。

金額別・3つの経費の落とし方

10万円を超えた機材でも、金額と申告方法によっては早く経費にできる制度があります。選択肢は主に3つです。

① 10万円未満は消耗品費で全額

取得価額が10万円未満のものは、その年の消耗品費として全額を経費にできます。マイク、外付けドライブ、リングライトなど、単価が抑えめの機材はここに入ることが多いです。判定金額が税込か税抜かで境目が動く点は、この区分でも同じです。

② 10万〜20万円未満の一括償却資産

取得価額が10万円以上20万円未満のものは、「一括償却資産」として3年間で均等に償却する方法を選べます。耐用年数にかかわらず取得価額の3分の1ずつを3年で費用にでき、月割りも不要です。白色申告でも使え、償却資産税(固定資産税)の対象にならない利点もあります。

③ 30万円未満の少額減価償却資産の特例

青色申告をしている中小事業者は、取得価額30万円未満の資産を「少額減価償却資産の特例」で、その年に全額経費にできます。20万円台のパソコンや30万円弱のカメラを一気に落とせる、使い勝手のよい制度です。利用条件は次の章で整理します。

取得価額(税込目安)使える主な方法経費にできる期間
10万円未満消耗品費で全額その年に全額
10万〜20万円未満一括償却資産/少額特例/通常償却3年均等 など
20万〜30万円未満少額特例(青色)/通常償却青色なら全額 など
30万円以上通常の減価償却耐用年数で分割

少額減価償却資産の特例を使う条件

「30万円未満なら全額落とせる」と聞くと魅力的ですが、誰でも自動的に使えるわけではありません。前提条件を押さえましょう。

① 青色申告であること

少額減価償却資産の特例は、青色申告をしている中小事業者が対象です。白色申告のままでは使えないため、活かしたいならまず青色申告への切り替えを検討することになります。青色申告には開業届と青色申告承認申請書の提出が必要で、期限も決まっています。

② 年間300万円という上限

この特例で一度に経費化できるのは、対象資産の合計で年間300万円までです。まとめ買いした年は、上限を超えた分に通常の減価償却が必要になることがあります。副業規模では届かないことが多いですが、機材を一気にそろえる年は合計額を意識しておきましょう。

③ 適用期限と開業届の準備

少額減価償却資産の特例には適用期限が定められており、これまで何度か延長されてきた経緯があります。購入を予定している年に制度が使えるか、最新の期限を必ず確認してください。あわせて、青色申告の前提となる開業届や帳簿の準備も欠かせません。制度の適用可否は個別の状況で変わるため、正確な判断は税理士にご相談ください。

記帳と確定申告での書き方

制度を理解したら、次は実際の帳簿と申告書での扱い方です。つまずきやすいので、計算例で具体的に見ていきます。

① 減価償却費の計算例

通常の減価償却がどう進むのか、30万円を超えて特例が使えないケースで見てみましょう。

計算例:一眼カメラを税込33万円で5月に購入(事業に100%使用・耐用年数5年・定額法)
・1年分の償却費:330,000円 × 0.200 = 66,000円
・初年度(5〜12月の8か月分):66,000円 × 8 ÷ 12 = 44,000円
・翌年以降:1年分の66,000円ずつを月割りしながら耐用年数にわたって計上
・帳簿の最後には1円の備忘価額を残す
※33万円は30万円以上のため少額特例は使えず、分割で経費にします。

② 家事按分との組み合わせ

自宅の副業で、機材をプライベートと兼用している場合は「家事按分」も重ねて考えます。事業で使う割合が7割なら、計算した減価償却費の7割が経費です。按分の根拠になる使用時間や使い方は、記録に残しておきましょう。

③ 売却・廃棄したときの処理

償却の途中で機材を手放したり壊れて使えなくなったりしたときは、残っている未償却分を「除却」や「売却」として処理します。フリマアプリなどで売った場合は、売却額との差額が損益になります。取得年・取得価額・償却の状況を一覧で管理しておくと、この処理がスムーズです。

買う前・買った後に気をつけること

最後に、機材を賢く経費化するための実務的なポイントを整理します。買うタイミングと単位の考え方が要点です。

① 買うタイミングと月割りの関係

減価償却は使い始めた月からの月割りになるため、年末近くに買うと初年度に落とせる額は小さくなります。逆に、その年の利益を圧縮したいなら早めの導入が有効です。ただし節税だけを目的に不要なものを買うのは本末転倒で、事業に本当に必要かどうかを軸に時期を検討しましょう。

② セット購入と「1単位」の判定

10万円や30万円の判定は、通常「1単位」ごとに行います。カメラ本体とレンズのように通常セットで機能するものは合計額で判定されることがあり、単品では10万円未満でもまとめると超える場合があります。反対に、独立して使える機材なら別々に判定できることもあります。どこまでを1単位とみなすかは判断が分かれるため、迷ったら確認しましょう。

③ 迷ったら早めに税理士へ

減価償却は、金額のライン・耐用年数・申告方法が絡み合い、独学だと判断に迷いやすい分野です。高額機材を買う前に一度、扱い方を税理士に確認しておくと、その後の記帳がぐっと楽になります。個別の状況で取扱いが異なるため、正確な判断は税理士にご相談ください。

高額機材を買う前のチェックリスト
・税込/税抜のどちらで10万円を判定するか把握したか
・青色申告で少額特例が使える状態になっているか
・機材の法定耐用年数と使い始める月を確認したか
・事業とプライベートの使用割合(家事按分)を記録できるか
・本当に事業に必要な機材かを、節税目的と切り分けて考えたか

よくある質問

パソコンを10万円ちょうどで買いました。全額を一括で経費にできますか。

全額を消耗品費にできるのは「10万円未満」で、10万円ちょうどは原則として減価償却の対象です。ただし青色申告なら少額特例で全額、白色でも一括償却資産として3年均等で経費にできます。

中古で買った機材でも減価償却は必要ですか。

10万円以上であれば中古でも償却の対象です。中古資産は新品より短い年数で償却できる方法があり、計算がやや複雑になるため、迷うときは税理士にご相談ください。

分割払いで買った場合、経費にできるのは払った分だけですか。

いいえ、経費計上の基準になるのは支払いのタイミングではなく取得価額の全体です。分割払いでも、購入時に確定した取得価額をもとに減価償却を計算します。

少額減価償却資産の特例は白色申告でも使えますか。

この特例は青色申告をしている中小事業者が対象で、白色申告では使えません。白色の場合は、10万〜20万円未満なら一括償却資産で3年均等償却が可能です。

スマホやタブレットも減価償却の対象になりますか。

10万円未満であれば消耗品費として全額計上でき、10万円以上なら器具備品として償却の対象になります。プライベートと兼用する場合は家事按分もあわせて考え、区分に迷う場合は専門家に確認すると安心です。

私はライブチャット代理店で15年、副業や個人事業を始めた女性たちのお金の相談に寄り添ってきました。なかでも多かったのが、「良い機材を買ったら経費で全部落とせると思っていた」という声で、減価償却という言葉に戸惑う方も少なくありませんでした。

この記事で私が伝えたかったのは、10万円を超える機材にはルールがあり、それを知っていれば怖くないということです。金額のラインと申告方法を押さえるだけで、一括償却資産や少額特例といった打てる手が見えてきます。

副業のために機材を選ぶ時間は、あなたの仕事が育っていく証でもあります。経費のルールに振り回されず、迷ったら税理士という専門家がいることも忘れず、まずは手元の機材の金額と買った月を書き出すところから始めてみてください。

— Belle Work 編集長 / 橘 美咲

✍️ 執筆:橘 美咲(たちばな みさき) / Belle Work 編集長|元女性誌編集者→ライブチャット代理店15年。業界キャリア15年・執筆/監修1,000本超
🔍 監修:増本 良之(税理士
📅 公開日:2026年9月10日
🏷️ カテゴリ:お金・税金

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